私はイタリアで生まれ、ピアノをウィーン国立音楽大学で学びました。20年以上にわたり、ウィーンに住んで仕事をしていましたが、2003年からは日本に住んでいます。
私は、ここ日本で演奏をしたり、教えたり、また音楽を聴いたりすることを楽しんでいます。日本の人たちは、音楽を、とりわけピアノを心から愛しています!
多くの日本の若い生徒は、すばらしい演奏をしますし、卓越した技術や能力を持っています。ですから私はいつも、ピアノの演奏家としてのキャリアを築きはじめたばかりの新人アーティストの演奏を聴くのを楽しみにしています。
けれども、私はいつも何かに行き当たるのです。技術(テクニック)面で失敗をすると、演奏している生徒の顔が大きく曇るのを、たびたび目にしてきました。ピアノはとてもメカニックな楽器ですから、その規則に慣れるのは難しいものです。ときどき、ほんの小さなミスで、はっきりとはわからないのに、そのミスが大きなトラブルとストレスを産み出してしまうことがあります。そうすると、音楽が演奏している人の心から自由に流れ出ることができません。
このブログでは、若いピアニストたちが、彼らに絶えずして起こっている問題を克服できるように助けたいと思っています。私は長年教えてきた結果、多くの効果的な解決法を発展させました。そして、それをみなさんと共有したいと思っています。
あなたを悩ませている問題に関する質問に、喜んでお答えします。どうぞ、コメントや心配事、気になっていることを書いてください。
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さあ、それでは最初のアーティクルです。
若いピアニストを悩ませている大きな問題のひとつに、演奏中の体が硬い【stiffness】ということがあります。例えば、コンクールでよく見かけるのですが、いかにピアノに向かって静かに自然に歩いていき、おじぎをしたとしても、演奏を始めるやいなや、猫背になって体を硬くして弾くのです。
体が硬いという、この極めて共通の理由は、多かれ少なかれこの写真のように演奏時の間違った姿勢にあります
たいていの場合、このような姿勢をしているピアニストの演奏はあまり良いものではありません。しめつけられたような音になり、レガートは貧弱で、活力のない音楽【lifeless music】になってしまいます。
これには、美的、もしくは心理的なことから(先生から教えられたものではないと希望しますが)いくつかの理由があります。この姿勢【position】では、腕の動きが拘束されてしまい、自由に演奏することが不可能です。
では、あなたも試してみてください。イスに座って、背骨の上部を曲げてください。肩は上げて、前の方に出してください。そしてそのまま、深呼吸をしてみてください。難しいですよね?
それでは、今度は背骨をまっすぐにして座り、肩が下がった状態で、深呼吸をしてみましょう。先ほどとの違いがわかりますか?
みなさんご存じのように、私たちの身体活動で最も重要なことのひとつは、呼吸です。生きていくうえで、新陳代謝【metabolism】を適切におこなうには、酸素が必要です。呼吸をすることによって、身体の必要な部分に酸素が運ばれ、二酸化炭素がとり除かれます。
さらにいうと、テンポとリズムの感覚は呼吸をするリズムからきているということです。
もし、あなたがさっき見た写真のような姿勢で弾いていると気づいたなら、自然な姿勢【position】をとり戻すようにすべきです。それでは、これからその方法についてご説明しましょう。
背骨は、3つの歯車が一緒に動くギアにたとえられます。
背骨をまっすぐにして座ると、胸が開いて、呼吸が楽になります。そして、もっとたくさんの酸素が血液中に送られるようになると、身体は自然とリラックスします。
よく言われることですが、骨盤と背骨のコントロールを正しくおこなうことが大切な要素となります。もし、これが適切にできていれば、背骨がまっすぐに伸び、頭はわずかに後ろに反った状態になり、正しい姿勢がとれているといえるでしょう。
演奏しているときに、背骨のラインが崩れないように注意してください! これは皆に共通の誤りです。演奏に悪い影響がでますよ。
有名なピアニストたちの姿勢を見てください。
これらのピアニストたちは、コンサートの間、時にはいくつかのパッセージで身体を曲げることがあるかもしれませんが、常にまっすぐの姿勢にもどります。
Every effort that doesn’t become sound, becomes tension.
音にならないすべての努力は、緊張【tension】となる。
このことをよく覚えていてください。わたしの説明の文章がみなさんにとって理解しやすいものであればいいなあ、と思っています。読んでくださって、どうもありがとう。もし、何か質問があれば、このブログにコメントを書いてくださいね。
Ciao(またね)!
Prof. Giuseppe Mariotti
教授: ジュゼッペ・マリオッティ